【速報】健康経営優良法人2027(中小規模法人部門)認定申請書の変更点|長時間労働対策は来年度から要件強化へ

2026年7月14日、経済産業省の第6回健康経営推進検討会で、健康経営優良法人2027(中小規模法人部門)認定申請書の素案が公表されました。今年度の変更は小幅で、申請の負担はほとんど増えません。一方で、長時間労働対策については来年度からの要件引き上げが予告されており、今年のうちに整備しておきたい体制が明確になっています。

本記事は検討会時点の素案に基づいています。申請受付開始までに公表される確定版で、最終的な内容の確認が必要です。

改訂の全体方針と申請スケジュール

中小規模法人部門の改訂方針は、回答負担の軽減です。認定事務局の資料では、回答すべき事項が明確になるよう回答例などを見直したと説明されています。大規模法人部門のような設問の統合・削除を伴う再編は行われず、認定要件の構造(必須項目と選択項目の適合数基準)も維持されます。

申請期間は2026年8月17日から10月16日(金)17時までで、例年通りのスケジュールです。申請には、加入している保険者が実施する健康宣言事業への参加(健康宣言)が引き続き必須要件となります。

評価項目名の変更は2箇所

認定要件の評価項目のうち、名称が変わるのは2箇所です。

1つめは「ワークライフバランスの実現に向けた取り組み」(Q16)です。旧「適切な働き方実現に向けた取り組み」が、休暇の取得促進と柔軟な働き方の実現に焦点を当てた項目へ再構成され、名称も変更されます。労働時間の適正化に関する内容は、後述の長時間労働対策の項目へ移ります。

2つめは「長時間労働の予防と事後対応」(Q27)です。旧「長時間労働者への対応に関する取り組み」から名称が変わり、予防(労働時間の適正化)と事後対応(長時間労働者への対応)を一体として確認する設問になります。

いずれも大規模法人部門と共通の再構成で、取り組みの内容自体が問われなくなるわけではありません。前年の申請内容がどちらの項目に該当するか、整理し直しておくと回答が楽になります。

長時間労働対策は今年度「いずれか」、来年度から「双方」に

今回の変更で実務への影響が最も大きいのは、長時間労働対策の適合基準です。

令和8年度の申請では、Q27の①予防(労働時間の適正化)と②事後対応(長時間労働者への対応)のいずれか一方の実施で評価項目に適合します。ただし認定事務局の資料には、来年度からは双方の実施をもって適合とする予定であることが明記されました。大規模法人部門では令和8年度から双方の実施が条件となっており、中小規模法人部門は1年遅れで同じ基準に移行する段階的な進め方です。

労働時間の管理はできていても、長時間労働者への事後対応まで整えている中小企業は限られます。事後対応の中心は、一定の基準を超えた長時間労働者に対する医師の面接指導と、その結果を踏まえた就業上の措置です。従業員50人未満の事業場で産業医の選任義務がない場合も、地域産業保健センターの無料相談窓口などを通じて面接指導の体制をつくれます。来年度の申請で慌てないためには、今年のうちに事後対応の窓口と手順を決めておくことが現実的な準備です。

配点なしで新設されるアンケート設問は2つ

評価には使用しないアンケート設問が2つ新設されます。

Q50は、PHR(健診結果やライフログなどの個人健康データ)を活用できる環境整備の状況を確認する設問です。大規模法人部門の設問と選択肢を統一した形で、中小企業でのPHR導入の実態把握と普及可能性の検証を目的としています。配点はないため、現時点で導入していなくても認定審査には影響しません。

Q54は、テーマ別ベストプラクティス選定へのエントリー設問です。対象テーマは、女性の健康、仕事と介護・治療・子育ての両立、高年齢従業員への配慮、睡眠不調者の改善などとなっています。先進的な取り組みを収集し、中小規模法人40社を選定・公表する新しい仕組みです。審査対象となる前提はブライト500への申請法人であることのため、上位認定を目指す企業にとっては自社の取り組みを対外的に発信する機会になります。

大規模法人部門との違い

令和8年度は大規模法人部門で変更が多く、中小規模法人部門は小幅にとどまりました。大規模のみの変更としては、睡眠の質向上に向けた評価設問の新設、健康投資額を確認するアンケートの新設、ライフデザイン経営の認知を確認するアンケートの新設があります。派遣社員等や家族への健康支援の要件化も、ホワイト500(大規模法人部門の上位認定)のみが対象です。

中小規模法人部門は、取り組みやすさを維持しながら要件を段階的に引き上げる方針が続いています。長時間労働対策の「来年度から双方必須」の予告は、その進め方を示す典型例です。

今年の申請に向けた準備

今年度の申請で必要な作業は2つあります。名称が変わった2項目(Q16・Q27)について自社の取り組みがどちらに該当するかを整理すること、回答例の見直しを踏まえて申請書の記載内容を確認することです。あわせて、来年度の要件引き上げに備えた長時間労働の事後対応の体制づくりを今年から始めておくと、2年先までの申請を見通した準備になります。

健康経営優良法人(中小規模法人部門)の認定法人数は2026年5月12日時点で23,077社と、国内の中小企業全体の1%に届いていません。一方、検討会資料の集計では、ブライト500などの冠付き認定を受けた企業の離職率は9.0%でした。同規模企業の平均13.6%(2024年度雇用動向調査による30〜99人企業の平均)を下回っています。人材確保が課題となる中小企業にとって、参考になる数字です。

冒頭に記載した通り、今回の内容は素案段階です。確定版の申請書で設問内容を最終確認した上で、申請準備を進めてください。

執筆・監修
WellaboSWP編集チーム

「機能する産業保健の提供」をコンセプトとして、健康管理、健康経営を一気通貫して支えてきたメディヴァ保健事業部産業保健チームの経験やノウハウをご紹介している。WellaboSWP編集チームは、主にコンサルタントと産業医・保健師などの専門職で構成されている。株式会社メディヴァの健康経営推進チームに参画している者も所属している。

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公開日:2026/07/24

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