【速報】令和8年度健康経営度調査(大規模法人部門)の変更点|ホワイト500要件の再編と睡眠設問の新設
改訂の全体方針と申請スケジュール
令和8年度の改訂方針は回答負担の軽減です。認定事務局の資料によると、大規模法人部門では設問内容が重複している箇所の統合と、評価に使用していない設問の削除が行われました。設問の統合・削除に伴い、中盤以降の設問番号が全体的に繰り上がっています。前年の回答内容を流用する場合は、設問の対応関係の確認が必要です。
申請スケジュールは例年通りで、健康経営度調査の回答期間は2026年8月17日から10月9日(金)17時までとなっています。健康経営銘柄2027の選定も、この調査回答をもとに進む流れです。
必須要件の該当設問はQ18SQ4からQ18SQ5へ変更
認定の必須要件である「健康経営の方針等の社内外への発信」は、該当設問が変わります。従来のQ18SQ4(健康経営の目的と体制の開示媒体)から、Q18SQ5(健康経営の推進について一元的に記載している媒体とURL)への変更です。開示している媒体数の多寡を問う趣旨ではない、という理由が事務局資料に示されています。
実務上求められるのは、健康経営の目的・体制・取り組みを一元的に確認できる媒体の整備です。統合報告書や自社サイトの健康経営ページなどを整え、そのURLを回答できる形にしておくのが確実です。複数の媒体に情報が分散している場合は、申請前に集約先を決めておく必要があります。
長時間労働対策は「予防と事後対応」の双方が適合条件に
長時間労働者への対応に関する設問(Q57)は、「長時間労働の予防と事後対応」へ再構成されます。旧「適切な働き方実現に向けた取り組み」に含まれていた労働時間の適正化に関する内容を統合した形です。大規模法人部門では、a.予防(労働時間の適正化)とb.事後対応(長時間労働者への対応)の双方に取り組んでいることが評価項目適合の条件になります。
このうち事後対応には、一定の基準を超えた長時間労働者に対する医師の面接指導や就業上の措置などが該当する内容です。労働時間の管理体制だけで適合していた企業は、面談体制まで含めた運用の確認が必要と考えられます。
あわせて再構成されるのが、旧「適切な働き方実現に向けた取り組み」です。休暇の取得促進と柔軟な働き方の実現に焦点を当てた「ワークライフバランスの実現に向けた取り組み」(Q40)となり、評価項目名も変わります。
ホワイト500の認定要件は2箇所で再編
ホワイト500(大規模法人部門の上位500法人)の認定要件に関わる再編が2箇所あります。
1つめは、自社従業員以外への健康支援です。従来3.制度・施策実行にあった派遣社員等への取り組み(旧Q59)と家族向けの支援(旧Q60)が、「1.経営理念・方針」へ移設されます。統合先は新Q20「他社からの派遣社員等や家族への健康支援」です。新Q20は、a.派遣社員等への支援とb.家族への支援のいずれかの実施で適合しますが、令和9年度からは双方の実施へ引き上げる予定と明記されています。グループ会社への浸透(旧Q20)と取引先・他社への支援(旧Q21)は新Q21「企業間での健康経営の普及・支援」に統合され、こちらは双方の実施が条件です。新Q20と新Q21の両方を満たすことが、ホワイト500の要件になります。
2つめは、従業員への健康経営の理解・促進です。「1.経営理念・方針」の推進方針の浸透(旧Q17SQ4)と「2.組織体制」側の関連設問(旧Q30〜Q32)は、内容が重複していました。このため組織体制の評価項目「従業員への健康経営の理解・促進」として再構成され、新Q30(情報の発信方法・内容)と新Q31(理解を深めるための工夫)に整理されます。効果検証側の設問である健康風土の醸成状況(Q72)との関連も明記されました。
睡眠の質向上が独立した評価設問に(Q55)
睡眠に関する取り組みは、従来「従業員の生産性低下防止のための施策」(旧Q56)の選択肢の一つでした。令和8年度は「睡眠の質向上に向けた取り組み」(Q55)として独立した設問になります。選択肢には、睡眠改善を目的としたウェアラブルデバイスの配布などを追加する案が示されています。
背景にあるのは政策の動きです。経済財政運営と改革の基本方針2026(原案)には「睡眠対策を含む健康経営の推進」が明記されました。2026年3月には睡眠関連の2つの業界団体が、商品・サービスの有効性評価に関する自主ガイドラインを連名で公表しています。2026年6月からは医療機関が「睡眠障害」を診療科名に使えるようになりました。
なお、Q55は健康経営度調査の評価対象ですが、健康経営優良法人(大規模法人部門)の認定要件にある選択項目には含まれていません。認定の適合判定に直接影響する変更ではなく、健康経営度のスコアに反映される位置づけです。
配点なしで新設されるアンケート設問は3種類
評価には使用しない実態把握目的のアンケート設問が3種類新設されます。
Q76は健康経営の推進に係る投資額を確認する設問です。政府は、企業・保険者による健康投資額を2025年の約1兆円から2040年までに約2倍へ拡大する目標を掲げています。その実態把握のための設問で、設備投資の減価償却費・人件費・外注費といった費目別の内訳まで回答欄が設けられました。配点はありませんが、費目別に投資額を把握していない企業にとっては準備負担の大きい設問と考えられます。
Q77はテーマ別ベストプラクティス選定へのエントリー設問です。対象テーマは、女性の健康、仕事と介護・治療・子育ての両立、高年齢従業員への配慮、睡眠不調者の改善などとなっています。先進的な取り組みを収集して大規模法人10社・中小規模法人40社を選定・公表する新しい仕組みで、エントリーには健康経営優良法人の認定が条件です。
Q80からQ82では、ライフデザイン経営の認知度・必要性・取組内容を確認します。いずれも現時点では配点のないアンケートですが、睡眠が今回評価設問へ独立した経緯を踏まえると、将来的に評価対象へ移行する可能性を視野に入れた対応が現実的です。
このほか、PHR(健診結果やライフログなどの個人健康データ)を活用できる環境整備の設問(Q39)は、中小規模法人部門と設問・選択肢を統一するため改訂されます。
健康経営銘柄Premierの創設
健康経営銘柄に継続選定されている企業を層別化する枠組みとして、健康経営銘柄Premierが創設されます。要件は、健康経営銘柄に通算10回以上選定されていること、当該年度に銘柄へ選定されていること、地域や取引先企業等への健康経営の普及活動を実施していることの3つです。称号の保持にはホワイト500の認定継続が条件となります。
今年の申請に向けた準備
今回の変更で優先度が高いのは、必須要件に関わるQ18SQ5への対応です。健康経営の推進内容を一元的に記載した媒体とURLを、申請前に整備しておく必要があります。次の課題は、長時間労働の事後対応(面接指導や就業上の措置)の運用実態の確認です。ホワイト500申請企業は、新Q20・Q21と新Q30・Q31に該当する取り組みの棚卸しもここに加わります。健康投資額のアンケートは配点なしですが、費目別の集計には時間がかかるため、経理部門との連携を早めに始めておくと回答がスムーズです。
冒頭に記載した通り、今回の内容は素案段階です。申請受付開始までに公表される確定版の調査票で、設問番号と適合条件を最終確認した上で申請準備を進めてください。
執筆・監修
WellaboSWP編集チーム
「機能する産業保健の提供」をコンセプトとして、健康管理、健康経営を一気通貫して支えてきたメディヴァ保健事業部産業保健チームの経験やノウハウをご紹介している。WellaboSWP編集チームは、主にコンサルタントと産業医・保健師などの専門職で構成されている。株式会社メディヴァの健康経営推進チームに参画している者も所属している。
