第5回健康経営推進検討会から読む、中小規模法人部門の2026年認定結果と今後の方向性
2026年3月、「健康経営優良法人2026(中小規模法人部門)」の認定結果が発表されました。同月17日に開催された第5回健康経営推進検討会では、認定状況の報告とともに、中小企業への普及拡大に向けた今後の施策についての議論が行われています。
大規模法人部門についての議論はこちら
今年度の認定結果
第5回健康経営推進検討会(2026年3月)の資料によると、中小規模法人部門の認定状況は以下の通りです。
- 健康経営優良法人2026(中小規模法人部門):23,085法人(前年度比+3,289件、約16.6%増)
- うち上位500法人:ブライト500として認定
- 501位〜1,500位:ネクストブライト1000として認定
- 小規模事業者向け特例制度による認定:269法人(前年度141法人から1.9倍に増加)
2016年度の認定数が318法人だったことと比べると、10年間で約73倍に拡大していることに注目ですね。
出典:第5回 健康経営推進検討会 事務局資料 (今年度の認定状況と今後の方向性について)2026年3月17日 経済産業省 商務・サービスグループ ヘルスケア産業課
ブライト500・ネクストブライト1000・小規模事業者特例の違い
ブライト500は、中小規模法人部門の認定法人のうち評価順位が上位500位以内の法人に付与される称号です。
ネクストブライト1000は、501位から1,500位の法人が対象の称号です。今回の第5回検討会では、日本政策金融公庫の「働き方改革推進支援資金(企業活力強化貸付)」において優遇利率が適用される対象にネクストブライト1000が追加される予定であることが示されました。
小規模事業者向け特例制度は、健康経営ガイドブック(2025年3月版)によると「健康経営優良法人(中小規模法人部門)2025認定から試験導入」された制度で、従業員数が特に少ない事業者(製造業その他で20人以下、卸売業・小売業・サービス業・その他法人で5人以下)を対象に、通常より取り組みやすい要件で認定を受けられる仕組みです。今年度の認定数は269法人と、前年度から1.9倍に増加しています。
中小企業法人部門での課題
① 普及率が0.59%であること
申請・認定数が増加している一方で、全中小企業に占める認定法人の割合はまだわずかです。第4回健康経営推進検討会(2025年12月)の資料によると、全中小企業数(約336万社)に占める健康経営優良法人(中小規模法人部門)の割合は0.59%にとどまっています(2025年12月1日時点の認定数をもとに算出。企業数は総務省・経済産業省「令和3年経済センサス‐活動調査」による)。大規模法人部門の普及率が約33%であることと比べると、中小企業への浸透はまだ途上にあります。
出典:第4回 健康経営推進検討会 事務局資料 (今後の健康経営の推進について)2025年12月16日 経済産業省 商務・サービスグループ ヘルスケア産業課
株式会社月刊総務が2024年2月に実施した「健康経営についての調査」(n=75、健康経営に取り組んでいない企業)によると、取り組めていない理由として以下が挙がっています。このデータは第5回検討会でも課題として引用されています。
- ノウハウやスキルがないから:50.7%
- 何をすればよいかわからないから:44.0%
- 経営陣の理解がないから:33.3%
- 時間がないから:28.0%
- 予算がないから:22.7%
第5回検討会で示された対策
こうした現状を踏まえ、第5回検討会では中小企業への普及拡大に向けた対応策(案)が示されました。
① 健康経営に取り組む動機づくり
第5回検討会の資料によると、成長加速化補助金・大規模成長投資補助金・省力化投資補助金・持続化補助金において、健康経営優良法人の認定を取得した事業者への審査加点措置が実施予定とされています。また、日本政策金融公庫の「働き方改革推進支援資金(企業活力強化貸付)」における優遇利率の適用対象に、ネクストブライト1000が追加される予定です。
② 小企業向けのメリット・取組の見える化
前回の検討会では「健康経営の成功事例として検索できるのは大企業の事例が多く、中小企業では同様の対応ができず途中で頓挫してしまうことがある」という意見が挙がっていました。これを踏まえ、中小企業向けの健康経営のメリットや、中小企業を含むテーマ別の取組事例を作成・情報発信していく方向が第5回検討会で示されていますので、今後健康経営の推進で困ったときに参考となるのではないかと考えられます。
③ 経営支援機関と連携したサポート体制
よろず支援拠点や商工会・商工会議所といった経営支援機関と連携し、地域の中小企業への取組支援を行う方向で検討されています。支援者向けの研修実施なども例として挙げられています。あわせて、2026年度に設置予定の「女性の健康サポートデスク」との連携も想定されており、企業および支援機関向けに女性特有の健康課題に関する相談窓口として機能することが期待されています。
まとめ
健康経営優良法人2026(中小規模法人部門)の認定数は23,085法人と過去最多を更新し、10年前と比べると約73倍にまで拡大しています。小規模事業者向け特例制度の認定数も前年度の1.9倍と、制度の裾野が広がりつつあることがわかります。
一方で、対象となる中小企業全体から見た普及率は0.59%(第4回検討会時点)にとどまっており、大規模法人部門の約33%と比べると大きな開きがあります。取り組めていない理由の上位が「ノウハウがない」「何をすればよいかわからない」であることからも、情報や支援へのアクセスが課題の本質であることが見えてきます。
第5回検討会では、この現状に対して①補助金の審査加点・融資優遇の拡充による動機づくり、②中小企業向けの取組事例の作成・情報発信、③よろず支援拠点や商工会議所等の経営支援機関と連携したサポート体制の構築、という3つの対応策が示されました。これまで「取り組みたいが何から始めればよいかわからない」という状況に置かれていた企業が動き出しやすい環境は、少しずつ整いつつあるといえるかもしれません。
来年度の申請に向けた準備は例年夏頃から始まります。認定を検討されている場合は、まず協会けんぽ等が実施する「健康企業宣言」への参加から着手してみてください。詳細は経済産業省のポータルサイト「ACTION!健康経営」に掲載されています。
執筆・監修
WellaboSWP編集チーム
「機能する産業保健の提供」をコンセプトとして、健康管理、健康経営を一気通貫して支えてきたメディヴァ保健事業部産業保健チームの経験やノウハウをご紹介している。WellaboSWP編集チームは、主にコンサルタントと産業医・保健師などの専門職で構成されている。株式会社メディヴァの健康経営推進チームに参画している者も所属している。
