【費用相場と選び方】50人未満企業のストレスチェック外部委託完全ガイド|委託先3タイプを比較

「ストレスチェックをどこに頼めばいいのかわからない」「費用がいくらかかるのか見当もつかない」——50人未満の企業でストレスチェック義務化への対応を検討しはじめた担当者の方から、こうした声をよく聞きます。

厚生労働省の小規模事業場向けマニュアルでは、プライバシー保護の観点から「外部委託を推奨」と明記されています。しかし「どの業者に委託すればよいか」という選定の基準は、意外と知られていません。

この記事では、ストレスチェックを外部委託できる業務の範囲、委託先の3タイプ比較、費用の目安、そして選定のチェックポイントをまとめました。2028年の義務化施行に向けて委託先を選定している企業の担当者の方に、参考にしていただける内容となっています。

なぜ50人未満企業は外部委託が推奨されるのか

厚生労働省の「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」では、50人未満の事業場について「原則として、労働者のプライバシー保護の観点から、ストレスチェックの実施を外部機関に委託することが推奨されます」と明記されています。

これは単に利便性の問題ではなく、制度本来の目的に関わる理由があります。ストレスチェックは従業員が「ありのままを回答できる」ことで制度の効果が生まれます。小規模の職場で自社実施をしようとすると、「結果が上司に知られるのでは」という不安が生じやすく、回答が歪んでしまうリスクがあるのです。

加えて、実務面での課題も深刻です。実施者(医師・保健師等)を社内で選任できないケースがほとんどであること、人事権を持つ者は実施事務に関われないという法律上の制限があること、守秘義務の管理が難しいことなど、自社実施には多くの障壁があります。

なお、外部委託をしても「ストレスチェックを事業者の責任において実施する」という原則は変わりません。就業上の措置の決定や労働基準監督署への報告書提出は、委託後も会社が行う必要があります。このあたりの範囲をあらかじめ整理しておくことが、委託先との認識合わせのうえで重要です。

外部委託できる業務・できない業務

委託先を選ぶ前に、「何を委託できるのか」を正確に理解しておく必要があります。「すべて業者任せにできる」と思い込むと、後から想定外の対応が発生することがあるためです。

外部委託できる主な業務としては、実施者の選定と実施者業務全般、調査票の配布・回収・集計、個人結果の評価と高ストレス者の選定、個人結果の本人への通知、面接指導の実施、集団分析レポートの作成などが挙げられます。ストレスチェックの「実施」に関わる業務はほぼ委託可能です。

一方、事業者(会社)が必ず行わなければならない業務もあります。ストレスチェックの実施規程の策定、従業員への受検勧奨、面接指導対象者から申出を受ける窓口の設置、医師の意見に基づく就業上の措置の決定・実施、労働基準監督署への報告書の提出などは、委託先がどれだけ手厚くサポートしても、最終的な責任者は事業者です。

この区分を委託先と明確に共有しておくことが、スムーズな実施体制の構築につながります。

委託先3タイプの比較

50人未満企業が利用できる外部委託先は、大きく3つのタイプに分類されます。それぞれ強みと弱みが異なるため、自社の規模・IT環境・予算に合わせて選ぶことが重要です。

地域産業保健センター(地産保)——面接指導の依頼先として

独立行政法人 労働者健康安全機構が全国に設置する支援窓口です。ここで重要な注意点があります。厚生労働省マニュアルには「地産保では、ストレスチェック自体は実施していません。また、事業者がストレスチェックの実施者を地産保の登録産業医に依頼することもできません」と明記されています。

地産保が対応しているのは主に医師による面接指導(高ストレス者への医師面談)を無料で受けることです。ストレスチェックそのものの実施や実施者の担当は、別途民間業者に委託する必要があります。面接指導の依頼は、高ストレス者が面接を申し出た段階で最寄りの地産保に問い合わせて行います(地産保への具体的な申込方法は厚生労働省マニュアルの巻末資料を参照してください)。

コスト削減を検討している企業にとっては、ストレスチェックの実施は民間業者に委託しつつ、面接指導は地産保に依頼するという組み合わせが選択肢になります。

ストレスチェック専門業者

ストレスチェックの実施に特化したサービスを提供する民間企業です。WEB版・紙版の調査票、集団分析レポート、実施者代行サービスなどをパッケージで提供しているところが多く、管理画面から受検状況の確認や受検勧奨メールの送信が可能なシステムを持つ業者も多いため、IT環境が整った企業には利便性の高い選択肢です。

費用は業者によって差がありますが、WEB版でおよそ基本料金30,000〜50,000円程度+1人あたり260〜1,000円程度の構成が多く見られます。注意すべきは、実施者代行・面接指導・集団分析がオプション扱いとなっている場合があることです。受検費用だけで比較すると、後から追加費用が発生して予算超過になるケースがあるため、見積もりは必ず総額で確認することが重要です。

オンライン産業保健サービス

産業医・保健師がオンラインで健康管理全般(ストレスチェック、健診事後措置、高ストレス者面談など)を提供するサービスです。ストレスチェックだけでなく、健康経営の推進も視野に入れている企業に向いています。

月額制が多く、実施者・実施事務従事者の選任から集団分析・面接指導まで一貫して依頼できる点が最大の強みです。ストレスチェック単体での利用は割高になることもありますが、複数の産業保健業務もあわせて依頼することを想定している企業には費用対効果が高くなります。

費用の内訳と実際の目安

ストレスチェックの委託費用は「受検1人あたりの費用」だけで比較されがちですが、実際にはいくつかの項目が発生します。全体像を事前に把握しておきましょう。

受検費用(WEB版) は1人あたり300〜1,000円程度で、多くの業者ではこれに加えて基本料金が発生します。実施者代行サービス(社内に有資格者がいない場合)は費用が別途発生する場合があり、医師による面接指導は高ストレス者が申し出た場合、費用は業者によって異なります(地産保を利用する場合は無料)。集団分析レポートは基本サービスに含まれる業者と別途費用がかかる業者があります。

50人規模での試算例として、専門業者のWEB版を利用する場合は基本料金+受検費用50人分で、数万円〜10万円程度を見込んでおくと現実的です(業者によって大きく差があるため、必ず複数社から見積もりを取ることをおすすめします)。これに実施者代行と面接指導(申出があった場合)を加えた総額で予算計画を立てることをおすすめします。

委託先を選ぶ4つのチェックポイント

厚生労働省マニュアルでは、委託先から「サービス内容事前説明書」を提出してもらうことを推奨しています。選定時に必ず確認すべきポイントを4つ紹介します。

①実施者は有資格者か

実施者は「医師、保健師、一定の研修を受けた歯科医師・看護師・精神保健福祉士・公認心理師のいずれか」でなければなりません(厚生労働省マニュアルより)。医師・保健師については研修は要件とされていませんが、歯科医師・看護師・精神保健福祉士・公認心理師については一定の研修修了が必要です。「有資格者が対応します」という言葉だけで安心せず、サービス内容事前説明書で実施者の資格を明示してもらいましょう。

②集団分析と面接指導の対応が明確か

「集団分析が基本料金に含まれているか」「高ストレス者への面接指導はどこが担当するか」を確認します。面接指導を別業者に依頼する構造になっている場合は、連携方法と費用の両方を確認しておく必要があります。

③情報管理体制は適切か

ストレスチェック結果は従業員の健康情報です。データの保管場所・保存期間・アクセス権限の管理体制を確認しましょう。プライバシーマーク取得やISO27001認証を持つ業者は一定の情報管理基準を満たしている目安になります。

④小規模事業場の実績があるか

大企業向けのサービスを小規模企業に適用しようとすると、サポートが手薄になるケースがあります。10〜50人規模の対応実績が豊富かどうか、担当者の丁寧さや問い合わせへの反応速度も選定の重要な指標です。

よくある選定の失敗例

受検費用しか確認せず、追加費用が発生したケースは非常に多いです。実施者代行・面接指導・集団分析の費用が別途発生して予算オーバーになるパターンで、見積もりは「総額で何が含まれているか」を一覧表にして比較することが必要です。

「地産保にストレスチェックをお願いできると思っていた」というケースもよくあります。地産保はストレスチェック自体の実施は行っていないため、ストレスチェックの実施は別途民間業者に委託する必要があります。地産保の無料サービスは「面接指導」の部分で活用できます。

実施者の資格を確認せず契約したケースでは、後から「担当者が研修未修了だった」という問題が発覚することもあります。サービス内容事前説明書での事前確認が欠かせません。

ウェラボのストレスチェックサポートについて

WellaboSWPのオンライン健康管理室「ウェラボ」では、産業医・保健師がストレスチェックの実施者・実施事務従事者を担当します。50人未満の事業場でも対応実績があり、以下のような対応が可能です。

実施者・実施事務従事者の選任からストレスチェックの開催設定・受検案内・未回答者リマインドまで、ストレスチェックのプロセスを一括してお任せいただけます。高ストレス者が面談を希望した場合は産業医が対応し、結果の事業者開示に抵抗がある方には保健師が健康相談という形で対応します。集団分析は産業医・保健師が専門職としてレポートを作成し、定期報告会で解説するため、「レポートをもらったが読み方がわからない」という状況になりません。

また、ストレスチェックと同時に生産性調査を実施することも可能で、職場環境と生産性の両面からデータを取得することができます。平日毎日対応しているため、準備期間の相談から実施後のフォローまで柔軟に対応できます。

ストレスチェックにとどまらず、健康診断事後措置・長時間労働者対応・健康相談・休復職者フォローなど、幅広い健康管理業務にも対応しています。ストレスチェックを入口として、健康管理体制を段階的に整えていきたい企業にも適したサービスです。

オンライン健康管理室ウェラボについて詳しく

まとめ

委託先の選定は、費用の安さだけで判断するのではなく、実施者の資格要件・集団分析と面接指導の対応範囲・情報管理体制・小規模実績の4つの観点から総合的に評価することが重要です。

地産保はストレスチェック自体の実施は担っておらず、面接指導の無料依頼先として活用する位置づけです。ストレスチェックの実施は専門業者かオンライン産業保健サービスに委託することになります。費用比較は受検費用だけでなく、実施者代行・面接指導・集団分析を含めた総額で行いましょう。

2028年の義務化施行に向けて、委託先の選定と社内の実施規程の策定には準備期間が必要です。できれば実施の半年前には動き始めることをおすすめします。

執筆・監修
WellaboSWP編集チーム

「機能する産業保健の提供」をコンセプトとして、健康管理、健康経営を一気通貫して支えてきたメディヴァ保健事業部産業保健チームの経験やノウハウをご紹介している。WellaboSWP編集チームは、主にコンサルタントと産業医・保健師などの専門職で構成されている。株式会社メディヴァの健康経営推進チームに参画している者も所属している。

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